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正宗を使いたい理由

こんばんは。
なんだかうまい使い方が分からない、武器シリーズ。

その中でも、

正宗は使いたいのですよね~。
その理由を書いてみます!


人里離れた小高い山に茅葺き屋根の家と小屋、それに大きな竈がある。
一見何の変哲もない百姓の家だが、よく見ると壁には無数の刀傷が付けられており、物騒なことこの上ない。
しかし、その無数の傷は家の傷というよりも繊細な彫刻を施したかのようにも見えるし、その場に満ちた空気は清浄そのものであった。
竈も小屋も掃除が行き届き、掃き跡の残る庭には足を踏み入れることをためらわせるほどの気配が残っている。

ここは、冶金の神タケミナカタの庵である。
山の入口には鳥居が立ち、力無きものは神社へ、力と強い意思を持つものはこの庵へと導かれるように結界が張られている。

「父上!
朝の稽古をお願い致します!」
家から澄んだ気配を持つ青年が出て来て、小屋に向かって声をかける。その手には使い込まれた木刀が、鈍く朝日を反射している。
「はいはい、今行くから。
あと、僕の事は父上ではなく、師匠と呼ぶように言ったでしょ」
少し開けられた小屋の窓から、切れ長の目が覗く。
小屋の中で金属の触れ合う音がしたあと、青年よりも少し背の低い男が出てくる。色白の肌に先ほど窓から見えた切れ長の目、長い髪を二つにまとめている姿は少年のようにも見えるが、この男こそが冶金の神タケミナカタだ。
「しかし、今は周りに誰も居りません」
「そういうことじゃないんだよ、正宗。僕がこういう姿をとっているのだから、君に『父上』なんて言われたら台無しだよ」
大真面目な顔で腰に手をあてながらそう言う姿は、とても神には見えない。
「今日は天女の団体さんが遊びに来るんだから、気を抜けないよ!」
ビシッと人差し指を正宗に向けて、どうしようもないことを全力で言っているのが、正宗の師匠であり、冶金の神のタケミナカタだ。
「師匠、朝稽古の時間は過ぎております。よろしくお願いします」
「え~。もう君は十分強いじゃん。
それ以上強くなってどうするのさ」
タケミナカタは心底面倒くさそうに口を尖らせて言う。
「しかし、師匠には一度も勝ったことがありません!
師匠を越えることこそ、弟子の理想」
あくまでも真っ直ぐに、正宗は師を見つめる。
「いいかい、君は僕が打った中で間違いなく最高の一振りだ。刀は数えきれないほど打ってきたけど、後にも先にも君ほどの刀は打てなかった。そして、僕が手放さないまま時間が経ったことで、君は刀でありながら刀を振るう人に近いものになってしまった」
ここまで言ってから、ちらりと空を見上げる。いつの間にか雨雲が山を覆うように広がって来ていたようだ。
「雨が降りそうだ、中に入ろう」
「いえ、続きをお願いします。聞くまで動いてはいけないと、私の心が言っています」
小さく溜め息を吐いて、タケミナカタは大きく伸びをする。



気配が変わった。
さきほどまでのぼんやりした感じは消え、肌に粟を生じるほどの威圧感がその体から発せられている。
「確かに、今のままの君では色々と厄介なことが起きそうだ。僕が大事にしてきたせいで、『正宗』という刀を欲しがる奴らもいるし、刀としての道を外れてしまった君の存在を許さないヒトもいるみたいだからね」
雨雲からは細かい雨が降りだしていた。
「正宗」
「はい」
「僕は神様だから、自分の性質を変えることは簡単にできる。そして、君にもできるはずなんだ」
「私にも....」
「ただ、君はちょっと硬すぎて、このままではこの技を使えるようにはならないし、この技を使えない限り君は僕を超えることはできない」
「では、どうすれば!」
「旅に出なさい」
雨は次第に強くなり、地面に落ちた雨粒は砂と混じり、濁った水溜まりを作る。
「旅に出て、色んなものを見なさい。たくさんの人と話しなさい。そして、誰かを好きになりなさい。
刀としての君と人としての君が同じように成長すれば、君だけの戦い方ができるようになる。そうなれば、僕とだって好い勝負ができると思うよ」

雨の中で向かい合う二人の間に空から光が射し込んできた。
「さて、天女達が来たようだから、僕は着替えて宴の準備をするよ」
「自分の戦い方が見付かったら、必ず戻ってきます」
「待ってるよ。
君は僕の自慢の刀だからね」
雨雲の裂け目から射し込む光に乗って、天女達が舞い降りてくる。タケミナカタが正宗から天女へと顔を向けて、両手を広げていた。その服装はすでに真新しいものへと変わっていた。

「父上!行ってまいります!
お達者で!」
旅支度を終えた正宗が、天女に囲まれて嬉しそうにしているタケミナカタに手を振って山を降りていく。
「こんな時に父上って言うんじゃないよ、駄目な弟子だなぁ」
大声に驚いている天女に囲まれて、ぽつりとタケミナカタは呟いた。

――――――――――――――――――――――
長い。
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